人生を思い通りに変える51の質問 | 人生の分かれ道が理解できる
質問というのは、「人に強制的に考えさせ、答えを見つけ出させる」力がある。
だから、どんな質問を自分にするかで人生は変わる。
たとえば、成績の悪い子供が2人いたとする。1人は「なんで俺はダメなんだろう?」と自分に質問して、自分を責めたり、原因探しをして、ますます自信を失って、落ちこぼれていく。
もう一人は、「どうすれば今より成績がよくなるだろ?」と質問する。すると「何をやめたらよいだろうか?」「今何をしたら良いか?」といったことに意識が向いて、少しずつでも状況が前向きに変わる方向に進むことができる。
まー、わかりやすい話です。
この本を読んで、人間の人生なんて「自分に向ける質問で決まる」とつくづく思った。
質問によって意識をどこに向けるか
自分への質問というのは、要するに意識をどこにフォーカスするか?ということ。
よくある最悪なパターンは、原因探し。
落ち込むような状況に陥ったとき、「なんで、こんなことになってしまったんだろう?」という質問をしがちだ。
その質問は自分の意識をどこへ向けるだろうか?
過去の失敗を悔いることに意識を向けたり、どうにもならない環境や他者への恨みに意識を向けたり、生まれつき俺はダメだという運命論に意識を向ける。
原因探しをすればするほど、人間は何とかして原因を見つけようとするから、ときには原因を捏造してしまう。(精神分析ではこの点がよく批判される)
「なんで?」という原因探しではなく、「どうすればいいか?」「何ができるか?」というアクションを探す質問をした方がいい。
その質問によって、具体的な行動に意識が向けば、状況を変えられるという自信まで生まれてくる。
とりあえず、「どんな質問をすれば、自分の人生は変わるか?」という質問からはじめてみたい。
エッセンシャル思考 | 本質目標を追いましょう
仕事を断れない人が読む本
著者がこの本を書くきっかけになったのは、妻が出産したときに、つまらない会議を断れなかった苦い経験だという。
そのことを心の底から後悔していることが本書を通して伝わってくる。大切なものを選択しないと人生が大変なことになると。
本書の内容は実に平凡なものだけど、いろいろ考えさせられることがあった。
大量行動と一点突破のどちらが正しいのか
エッセンシャル思考というのは、「重要なものを選択」すること。だとしたら、よく言われる「大量行動の法則」に反対しているのだろうか。
ビジネスを成功させる上で、大量の行動が大切だとされる。事前に結果を予測できるわけがないので、試行回数を増やすことが大切だと。
大量行動のバイブルといえば、以下の2冊。
大金持ちをランチに誘え! 世界的グルが教える「大量行動の原則」
- 作者: ダン・ケネディ,枝廣淳子
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/03/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 4人 クリック: 39回
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手取り1655円が1850万円になった営業マンが明かす月収1万倍仕事術
- 作者: 大坪勇二
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/06/19
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 51回
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上記2冊を読むと、大量の行動こそ成功のカギだと痛感する。ほとんど異論の余地がないほど。私自身の仕事上の戦略でもあります。
大量行動の法則とは何か。
ある目標があって、そこに至る方法が20個あるとする。そのとき「すべてやるのが一番だ」というもの。
どの方法がベストか悩んでいる時間は無駄。どれだけ考えても事前にわかるわけがない。すべてやってみて、結果で判断するしかないのだ。
じゃあ、エッセンシャル思考は何か。少数の本質的なことだけを選んで実行するもの。
となると、大量行動とは逆のように見えるが、実際はそうではない。エッセンシャル思考における「選択」というのは、
「大切な家族の絆」VS「くだらない雑用」
であるとか、
「テーマの定まった仕事」VS「多ジャンルのまたがる節操のない仕事」
といったことなのだ。
要するに、目標から外れる雑用なんて断ろう、というだけのことである。
だから、「大量行動するためには、エッセンシャル思考が必要」といった整合性を取ることができる。
「本質目標」という概念が「ミッション・ビジョン」に取って代わる
本書「エッセンシャル思考」の中で印象に残ったのは、本質目標(エッセンシャル・ゴール)という概念。
以下の図を見て欲しい。
簡単に説明すると以下。
- ビジョン・ミッション :(例) 世界を変える。
- 価値観 :(例) チームワーク。
- 本質目標 :(例) すべての国民にインターネット接続を。
- 四半期目標 :(例) 20%の売上アップ
ビジョン・ミッションおよび価値観なんて、抽象的な内容だから、「誰でも同じことを言う」と本書は断じている。
そんな抽象的なものが大切なのではなく、具体的で刺激的なものが「本質目標」だ。達成したかどうかが明確にわかるものであり、同時にわくわくするような目標だ。
この本質目標をしっかり見据えていれば、その目標にふさわしくない雑用は断れるはず。
この部分は、私がうすうす感じていたことだった。
ビジョン?ミッション?価値観?
誰でも同じようなことを言うし、ただの(抽象的な)綺麗ごとじゃん。そんなに重要なことなのか?と心の底で思っていたので、本書を読んで、胸がすくような思いだった。
大切なのは、具体的で刺激的な目標なのだ。本書で引用されていたブラッドピットの事例が素晴らしい。
ハリケーン・カトリーナでニューオリンズが水浸しになったときに、ブラビの主催するNPOは「水害地域に190戸の家を提供する」という目標を立てた。
これ。これが本質目標。
ミッションとか価値観で表現される言葉遊びではない。エッセンシャル・ゴールとは、このように具体的で野心的なのだ。
こういった目標が立てられる人なら、重要なものを選べる(エッセンシャル思考ができる)のも、納得である。
ヤフオクで稼ぐための42手法 | ヤフオクは副業に最適かも知れない
最近はキンドルで本を買うことが多い。この本もキンドルブックだけど、なかなか役に立った。
こうやって売ればいいんだよでも書いたけど、私はヤフオクで仕入れ販売をやっています。趣味的なものだけどね。
稼げる商品は何か。仕入先はどこか。こういう情報をたびたび探して、いろいろトライしてます。
何かヒントが得られればいいなと思って、上記の「42手法」という本書を読んで見たけど、自分がまったく知らない情報がいくつかあった。
自分は家電系ばかりだったので、ファミリーセールは知らなかった。これは良さそうなので、こんどやってみます。あとお小遣い稼ぐ系も試してみるかな。
ファミリーセールは招待券が普通に手に入るんですね。こんな情報が広まったら、転売目的ではなく、普通の消費者でも殺到すると思う。
稼ぐ方法はいろいろあるが突き抜ける必要あり
ヤフオクに限らず、稼ぐ方法ってのはいろいろある。だけど、すべての手法を広く浅くやるのは無駄が多い。
やっぱり、稼げるか、稼げないかの境界ってのは紙一重であって、「稼げるゾーン」に入り込むには、その方法について突き抜ける必要がある。
突き抜けるっていうのは、トライアンドエラーを繰り返して、仮説検証を繰り返して、ともかく稼げるレベルまでもっていくということ。
本書を読んで思ったのは、新品転売と中古転売はそれぞれ次元の異なる活動だということ。
売っている人たちって、まったく違う惑星の住人というくらい違うはずだ。頭の使い方とか、行動の仕方がまったく異なる。
適性があるとしたらどちらか一方だから、新品を扱うか、中古を扱うか、決めた方が良さそう。自分は趣味的にやっているけど、本業でやるなら、なおさら。
どちらかに絞った方が、稼げるゾーンに入るのは確実に早い。
節約もいいけど、稼いだ方が早い
あと、小遣い稼ぎの章もけっこう参考になって、どんなものでも売れるんだなと思った。株主優待でも無料サンプルでも。
稼げる金額は些細なものだとしても、何もしないよりは、ガンガン出品した方がいいわ。
特に、株主優待については、今まで買い付け余力を無駄にして、もったいなかったなと思った。クロス取引で小銭稼いだ方がよかった。
なぜって、日々の暮らしで、1万円の使い方に迷っているでしょ。そんな迷っている時間があったら、1万円くらい稼げるんだわ。消費をケチるための節約に時間を使っているくらいなら、その金額をあっさり稼いだ方がいいです。
さすがに真似はできない手法もある
フィギア改造(笑。
そうですか。そういう世界があるんですか。売る気はないけど、買いたくなりましたよ。
世の中、広いでね。
どんな人がやっているのか、ちょっと会ってみたい。
この本は充分、楽しむことができました。
「幸せをお金で買う」5つの授業 | 一読すれば、「もっと金が欲しい」という発想が消える。
- 作者: エリザベス・ダン,マイケル・ノートン,古川奈々子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
- 発売日: 2014/02/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書のテーマは、お金の使い方によって幸福感がどのように変わるか。
幸福を考えるときに絶対にお勧めの1冊。
5つの授業を簡単にまとめると・・・
- モノを買うより経験を買う方が幸福感を得やすい。
- 購入を先延ばしした方が幸福感を得やすい。
- お金を使うときは、時間への影響を重視する。(時間の方が大切だから)
- 先に支払って、あとで消費するようにする。
- 他人のためにお金を使うと幸福感を得やすい。
上記のまとめでは収まらないほど、本書は示唆に富む内容に満ちています。
思い出せることが幸せな時間
幸福とは何か?っていう問題がある。
「幸福と感じていること」が幸福には違いない。では、どんなときに幸福と感じるか。
たとえば、懐かしく思い出せることは幸福なことなのだ。
そして、懐かしく思い出せることは何かといえば、モノの記憶ではなく過去の経験なのである。
1番「モノを買うより経験を買う方が幸福感を得やすい」については、多くの人が気づいていることかも知れない。
経験の方がはるかに幸福に思い出せるわけだから、お金を使うならモノではなく、経験を重視すべきだ。
これは、3番「お金を使うときは、時間への影響を重視する」にも関係していて、何かを買ったために時間を奪われたら意味がないという話。
プールつきの豪邸を郊外に買うのは、素晴らしいことに思える。しかし、そのせいで毎日3時間の通勤時間を強いられたら、果たして幸せだろうか。日々の時間の使い方は、貧しくなっていないだろうか。
幸せは持続しない
2番「購入を先延ばしした方が幸福感を得やすい」と4番「先に支払って、あとで消費するようにする」の本質は、幸福は持続しないということ。
ベンツを買ったとしても、どうせ数日から数週間で慣れてしまうので、幸福感は持続しない。だったら、できるだけベンツが手元にある状態を先延ばしした方がいい。
ベンツのカタログを見て、期待に胸を膨らませている時間こそ幸福なのだ。だから、買うのをできるだけ先延ばしして「ご褒美」にする。あるいは、金を支払ってから、消費するのを「おあずけ」する。これが幸せを買うということ。
買い物依存の人は、次から次へと欲しくなるという。買って消費してしまえば、すぐに満足感は消える。また次のものが欲しくなるのは当然のこと。不幸な人としか言いようがない。
愛することが幸せ
5番「他人のためにお金を使うと幸福感を得やすい」については、もう人間の性質として遺伝子にインプットされていること。
愛されるより愛することが幸せ。自分のために金を使うより、愛する子供のために金を使うほうが幸福感は強いし持続する。
ほんの100円を恵まれない人に寄付しただけでも、生きている幸福感は増すのである。
興味深いのは、このポイントを「投資」と結び付けていること。株式投資だって、やりようによっては、「他人のために金を使うこと」と言える。好きな企業に投資するのは、それ自体が幸福な行為となるのだ。
「金が欲しい」って発想をやめよう
本書は、人々にたいして180度の価値観の転換を促している。
多くの人は「もっと金が欲しい」と日々思っている。「もっと金があったら、確実に幸せになれる」と。
とんでもない。その金の使い方をしている限り、幸福感は低下するばかりですよ。
モノを買う、すぐに買う、時間への影響を軽視する、後払いですぐに消費する、自分のために金を使う。
こんなことをやっていたら、どんだけ金があっても幸せは得られない。
重要なのは、金の多寡ではなく使い方だった。
本当に「読んで良かった」と思った本でした。
「フォロワー」のための競争戦略| パクリ戦略が抜けている
リーダーやニッチャーでなくても勝ち残る 「フォロワー」のための競争戦略
- 作者: 手塚貞治
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2014/06/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「 リーダー、ニッチャー、フォロワー」というのは、競争戦略上の分類のこと。以下のサイトでわかりやすく解説されている。
本書は、これといった経営資源を持たない「フォロワー」企業向けの戦略を解説している。
紹介されている12のフォロワー戦略については、綺麗にまとめられていると思う。一言でいえば、「競争回避をしながら、身軽な経営して、多くを試そう」といったところか。
「選択と集中」はハイリスク
本書は「選択と集中」の危険性を訴えていて、それが印象的だった。
一般的には、「経営資源が少ないなら、1つに集中しないと展望は開けない」といったことが語られがち。
しかし、本書を読めば、それがとんでもない話だとわかる。そもそも経営資源のない企業が「選択と集中」をして失敗したらどうなるか。即ゲームオーバーになる。まさにギャンブルに失敗したようなものだ。
むしろ弱い企業ほど多角化を目指さないとならないはずだ。
これはサラリーマンでも同じではないだろうか。大企業の出世街道にのっている「リーダー」とか、特殊技能をもっている「ニッチャー」なら1つの仕事に集中すべきだが、これといった能力のない凡人「フォロワー」は常にリストラ対象だし転職先もない。
日頃から、副業に精を出して、複数の稼ぎ口を開拓しておく方がリスクヘッジになる。フォロワーは多角化こそ王道なのである。
これは江戸時代の百姓だって同じ。農業ばかりやっていたら、不作のときに首をくくることになる。そこで、百姓たちはあらゆる副業にトライしていたと聞いたことがある。ワラジを編んで売ってみたり、山菜を町に売りに行ってみたり。
弱い立場の人間は、集中してはいけない。どうせ勝てないから。むしろ多角化を目指して、なんとか生き延びる方法を模索するのだ。
姑息なパクリ戦略を取り上げて欲しかった
本書で不満なのは、パクリの話がほとんど出てこないこと。
フォロワー戦略の1丁目1番地は、パクリでしょう。古今東西、三流企業はパクルことで生き延びてきた。フォロワー戦略の第一番目に「パクリ」を入れてほしかった。
こんな本もあるけど、まさにこれこそフォロワー戦略なんです。
フォロワーは一流企業を真似する。儲かっている企業を真似する。ブランド企業を模倣して顧客の錯誤で売り逃げる。身軽な経営をして、高速回転でパクリ続ける。パクッてナンボ。
私は、「「フォロワー」のための競争戦略」と聞いて、パクる方法を詳しく教えてくれるものとばかり期待していた。本書は実に綺麗なことばかり書いてあって、ちょっと残念。
フォロワーが綺麗な経営しているわけないでしょ!
なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか? |当たり前の現実がなぜわからないのか
なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか?―人気企業の「手口」を知れば、就活の悩みは9割なくなる
- 作者: 海老原嗣生
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2015/01/16
- メディア: Kindle版
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就活をしたのはずいぶん昔になるけど、当時からエントリーシートのばらまきが疑問視されていた。
「新卒の就職活動って、まだこんなことやってんの?」というのが率直な気持ち。
本書の内容は、池田信夫氏のブログとか、城繁幸氏のブログを読んでいれば、わかっていることばかり。
万が一、新卒や第二新卒の学生で、「エントリーシートが読まれている」なんて考えている人がいるなら、すぐに本書を手に取った方がいい。
有名企業には何万通というエントリーシートが寄せられるから、それをいちいち読んでいるわけがない。こんなことは誰でもわかりそうなもんだが。
採用を決めるのは誰か
多くの学生には能力信仰があると思う。能力のある人間が企業に採用されるという信仰。
だけど、考えて欲しいのは、誰が採用を決めるのか?という話。
採用担当者ってのは、要するにサラリーマン。
同じ釜の飯を食う仲間たちが採用を決めている。断じて、会社の株主ではない。
当然ながら、採用基準は「そいつと一緒に働きたいか?」ということになる。
能力なんてのは、仕事が最低限こなせるベースがありさえすれば、どうでもいいことなのだ。
だからこそ、学歴による足きりが機能してしまう。本当の能力主義だったら、学歴なんて意味ないから、学歴が採用基準になることはない。
就職の際に見られる「能力」というのは、最低限の仕事を遂行する能力のことだから、入試のお勉強がひとつのシグナルとして機能することになる。
最低限の能力さえば、あとは仲間とうまくやってけるか。これがすべて。
誰だって、新しく仲間になるやつが糞野郎だったら困るわけで、良い奴に入ってほしい。コミュニケーション能力が重視されるのは、あまりに必然的なことなのだ。
コミュニティを求める意識が罠となる
日本人にとって会社に就職するというのは、単に金を稼ぐ手段というより、アイデンティティのより所になっている。
だからこそ、若い人たちは少しでも世間受けのする企業に入りたくなるわけだし、その気持ちはわかる。
だけど、そんな古い意識で生きていたら、死ぬまで窮屈な人生を送ることになるから。終着駅はうつ病ですよ。どこかで根本的に発想を変えるしかない。
ワタミのような企業で若者が過労自殺して、ブラック企業だと騒がれている。不思議なのは、なぜ居酒屋チェーンに就職するのか?ということ。
将来、居酒屋の起業を目指しているならいいけど、こういった起業に就職して得られるスキルは居酒屋店員のスキルなわけでしょ?
だから、ワタミが東証一部だとか、一応は世間に名前が知られているとか、そういう馬鹿げた理由で会社を選ぶとしたら、その人はコミュニティを求めているだけ。
アイデンティティのより所を求めて、とりあえず有名企業に就職しようとする学生は、命の危険があることを自覚した方がいい。
もっといろんな大人と知り合うべき
もし、今の私が大学生時代の自分にアドバイスするなら、以下の言葉を贈りたい。
自分の力で世界に向き合っている大人たちと知り合いになれ!
そういう人を直に知っていれば、そういうカッコいい大人を身近に見ていれば・・・
世間受けのする大企業に片っ端からエントリーシートをばらまくような、アホな就職活動をする気持ちはなくなるでしょう。
世紀の相場師ジェシー・リバモア | この虚しさは何だろう
- 作者: リチャードスミッテン,Richard Smitten,藤本直
- 出版社/メーカー: 角川書店
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彼のことを調べつくした著者が、見事な伝記にした。
相場師はどんな人か
リバモアの人生はジェットコースターのような起伏に富んでいるので、とにかく面白い。無一文から成り上がった成功物語に終わらず、何度も破産に追い込まれる。そのたびに相場で再起して前回以上の金持ちになっている。
晩年は再起できなかったが、破産した過去の教訓から膨大な信託を組んでいたので、金には困らなかった。
それにしても、相場で成り上がる人はリスキーな投資をやっている。感心するというか、呆れるというか。どこか神経が切れているとしか思えない。
もう一生金に困らないほど成功しているのに、いざ勝負時になったら、全力でポジションをもったりする。だから、どれだけ金持ちになってもあっさり破産する。値動きが逆に向かえばそうなる。勝ち始めると再起も早いんだけど(笑。
以前、ネットで見たんだけど、数十万円でFXをはじめて、3億円を作った人がいた。(ネタか本当か判断できないが、一応Youtubeで取引証拠をアップしていたり)。その後、短期間に3億すべての金をすって無一文に逆戻りしていた。
3億円もあるのにリスキーな投資に全財産賭けるのは、どういう神経をしているのか不可解だと思っていた。逆にいえば、そういう人だから3億作れたともいえる。相場師はみんなそうなんだろうな。とてもじゃないが真似できない。
不幸な人だった
リバモアはとんでもない金持ちだから女性関係も派手なんだけど、何度結婚しても幸福を得られず不幸な私生活が続く。
相場師というのは根本的に不幸な人なのではないかと思ってしまう。どうしても満足を得られないタイプというべきか。
本の写真からもわかるように、ドンファンのような女好きの豪傑タイプではない。むしろ繊細に女性に救いを求めている。
妻が子供を銃で撃つ事件を起こしたり、とにかく家庭がめちゃくちゃ。最後の結婚も不幸なままで、自殺することになった。
若くして成功しちゃったので、心を熟成させる時期がもてなかったように思えた。
バケットショップは現在のFX取引
ところで、本書には20世紀初頭のバケットショップの話が出てくる。バケットショップというのは、株式の賭場。
株式取引のようだが、実際に株を売り買いするわけではなく、株価データを使って胴元と投機家とが金のやり取りをする。
当時、本当の株式取引をするなら大きな元手が必要だったが、こういったバケットショップなら庶民の小遣いで株式投資の真似事ができた。
ここまで読んでピンと来た人がいると思うけど、これって現在のFX取引と同じ。実際に通貨を買ったり売ったりするわけではなく、あくまで為替の値動きデータを使って、FX証券会社と投資家が金のやり取りをしているだけ。当然、投資家が勝てば、胴元のFX証券会社が損をする。
この基本をわかっていないでFXやっている主婦がけっこう多いと聞く。FX証券会社は、客に損をさせることで利益を出すわけだから、値動きデータなんて操作し放題。為替レートが客のロスカットのラインに近づいたら、わざと刈り取るくらいのことは平気でやる。実際の為替レートはあくまで参考に過ぎないわけで(笑。
20世紀初頭のバケットショップは、そういったコンピュータ操作ができない。だから大勝ちした客(=胴元を大損させた客)をどうしたかというと、暴力を背景にして支払いを拒んでくる。
バケットショップの投機で大儲けしたリバモアは何度も理不尽な支払い拒否に直面した。そこで、どうしたか。その賭場で大騒ぎした。周囲の客にたいして、「このバケットショップは支払いをしない」と騒ぎ立てた。そんな風評が広まったら商売できないからバケットショップはしぶしぶ支払うことになった。
要するに、こういった私設取引所は、ヤクザな世界なんです。客が負けることが前提で、大勝ちしたら身の危険がある。それを跳ね返すようなド根性があるからリバモアは金を蓄積できた。
ひるがえって、現代のFXは、さすがに支払い拒否はないだろうけど、コンピュータの操作でレートをどうとでも動かせる。客が負けることが前提になっていることに違いはない。生まれつきの相場師ならいいけど、普通の人が近寄る場所じゃない。