なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか? |当たり前の現実がなぜわからないのか
なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか?―人気企業の「手口」を知れば、就活の悩みは9割なくなる
- 作者: 海老原嗣生
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2015/01/16
- メディア: Kindle版
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就活をしたのはずいぶん昔になるけど、当時からエントリーシートのばらまきが疑問視されていた。
「新卒の就職活動って、まだこんなことやってんの?」というのが率直な気持ち。
本書の内容は、池田信夫氏のブログとか、城繁幸氏のブログを読んでいれば、わかっていることばかり。
万が一、新卒や第二新卒の学生で、「エントリーシートが読まれている」なんて考えている人がいるなら、すぐに本書を手に取った方がいい。
有名企業には何万通というエントリーシートが寄せられるから、それをいちいち読んでいるわけがない。こんなことは誰でもわかりそうなもんだが。
採用を決めるのは誰か
多くの学生には能力信仰があると思う。能力のある人間が企業に採用されるという信仰。
だけど、考えて欲しいのは、誰が採用を決めるのか?という話。
採用担当者ってのは、要するにサラリーマン。
同じ釜の飯を食う仲間たちが採用を決めている。断じて、会社の株主ではない。
当然ながら、採用基準は「そいつと一緒に働きたいか?」ということになる。
能力なんてのは、仕事が最低限こなせるベースがありさえすれば、どうでもいいことなのだ。
だからこそ、学歴による足きりが機能してしまう。本当の能力主義だったら、学歴なんて意味ないから、学歴が採用基準になることはない。
就職の際に見られる「能力」というのは、最低限の仕事を遂行する能力のことだから、入試のお勉強がひとつのシグナルとして機能することになる。
最低限の能力さえば、あとは仲間とうまくやってけるか。これがすべて。
誰だって、新しく仲間になるやつが糞野郎だったら困るわけで、良い奴に入ってほしい。コミュニケーション能力が重視されるのは、あまりに必然的なことなのだ。
コミュニティを求める意識が罠となる
日本人にとって会社に就職するというのは、単に金を稼ぐ手段というより、アイデンティティのより所になっている。
だからこそ、若い人たちは少しでも世間受けのする企業に入りたくなるわけだし、その気持ちはわかる。
だけど、そんな古い意識で生きていたら、死ぬまで窮屈な人生を送ることになるから。終着駅はうつ病ですよ。どこかで根本的に発想を変えるしかない。
ワタミのような企業で若者が過労自殺して、ブラック企業だと騒がれている。不思議なのは、なぜ居酒屋チェーンに就職するのか?ということ。
将来、居酒屋の起業を目指しているならいいけど、こういった起業に就職して得られるスキルは居酒屋店員のスキルなわけでしょ?
だから、ワタミが東証一部だとか、一応は世間に名前が知られているとか、そういう馬鹿げた理由で会社を選ぶとしたら、その人はコミュニティを求めているだけ。
アイデンティティのより所を求めて、とりあえず有名企業に就職しようとする学生は、命の危険があることを自覚した方がいい。
もっといろんな大人と知り合うべき
もし、今の私が大学生時代の自分にアドバイスするなら、以下の言葉を贈りたい。
自分の力で世界に向き合っている大人たちと知り合いになれ!
そういう人を直に知っていれば、そういうカッコいい大人を身近に見ていれば・・・
世間受けのする大企業に片っ端からエントリーシートをばらまくような、アホな就職活動をする気持ちはなくなるでしょう。