「フォロワー」のための競争戦略| パクリ戦略が抜けている
リーダーやニッチャーでなくても勝ち残る 「フォロワー」のための競争戦略
- 作者: 手塚貞治
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2014/06/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「 リーダー、ニッチャー、フォロワー」というのは、競争戦略上の分類のこと。以下のサイトでわかりやすく解説されている。
本書は、これといった経営資源を持たない「フォロワー」企業向けの戦略を解説している。
紹介されている12のフォロワー戦略については、綺麗にまとめられていると思う。一言でいえば、「競争回避をしながら、身軽な経営して、多くを試そう」といったところか。
「選択と集中」はハイリスク
本書は「選択と集中」の危険性を訴えていて、それが印象的だった。
一般的には、「経営資源が少ないなら、1つに集中しないと展望は開けない」といったことが語られがち。
しかし、本書を読めば、それがとんでもない話だとわかる。そもそも経営資源のない企業が「選択と集中」をして失敗したらどうなるか。即ゲームオーバーになる。まさにギャンブルに失敗したようなものだ。
むしろ弱い企業ほど多角化を目指さないとならないはずだ。
これはサラリーマンでも同じではないだろうか。大企業の出世街道にのっている「リーダー」とか、特殊技能をもっている「ニッチャー」なら1つの仕事に集中すべきだが、これといった能力のない凡人「フォロワー」は常にリストラ対象だし転職先もない。
日頃から、副業に精を出して、複数の稼ぎ口を開拓しておく方がリスクヘッジになる。フォロワーは多角化こそ王道なのである。
これは江戸時代の百姓だって同じ。農業ばかりやっていたら、不作のときに首をくくることになる。そこで、百姓たちはあらゆる副業にトライしていたと聞いたことがある。ワラジを編んで売ってみたり、山菜を町に売りに行ってみたり。
弱い立場の人間は、集中してはいけない。どうせ勝てないから。むしろ多角化を目指して、なんとか生き延びる方法を模索するのだ。
姑息なパクリ戦略を取り上げて欲しかった
本書で不満なのは、パクリの話がほとんど出てこないこと。
フォロワー戦略の1丁目1番地は、パクリでしょう。古今東西、三流企業はパクルことで生き延びてきた。フォロワー戦略の第一番目に「パクリ」を入れてほしかった。
こんな本もあるけど、まさにこれこそフォロワー戦略なんです。
フォロワーは一流企業を真似する。儲かっている企業を真似する。ブランド企業を模倣して顧客の錯誤で売り逃げる。身軽な経営をして、高速回転でパクリ続ける。パクッてナンボ。
私は、「「フォロワー」のための競争戦略」と聞いて、パクる方法を詳しく教えてくれるものとばかり期待していた。本書は実に綺麗なことばかり書いてあって、ちょっと残念。
フォロワーが綺麗な経営しているわけないでしょ!