コペル書評

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孫正義社長に学んだ「10倍速」目標達成術 | 納得するしかない

2016年最後の書評。

いわゆる自己啓発書だけど、実例が孫社長ソフトバンクなので、とにかく面白かった。 

秘書・社長室長としてソフトバンク孫社長を間近で見ていた著者が、孫社長から学んだ目標達成の戦略を紹介する。

 「目標達成術」といったタイプの自己啓発本は、もっともなことが書いてあっても、次の日になるとまったく印象に残っていないことが多い。

しかし、本書はスケールの大きいソフトバンクが具体例として持ちだされるので、とても面白いし説得力があった。

考えてみると、ソフトバンクというのは、本当に興味深い企業だ。急成長ぶりがユニクロと比較されることがあるけど、ユニクロは本業の地道な拡大なので、ごく正統派の成長ぶり。

それにたいしてソフトバンクは、予想もつかないプロジェクトと買収によって、わらしべ長者のように生まれ変わってきた。

何か秘密があるはず、と誰もが思うが、本書はなかなか真に迫った戦略を紹介している。

重要な3つの戦略

著者は孫社長の秘書として、ソフトバンクの躍進を間近でみてきた。

孫社長の仕事ぶりをいくつかのポイントで紹介したのが本書。

特に重要なのは、3つの戦略。

1.わらべし戦略 : ステージをあげるようなマイルストーンを達成する。

2.ナンバーワン戦略 : ニッチでもいいからナンバーワンになる。

3.くじ箱戦略 : 当たりの多そうなビジネスを選んで当たるまでチャレンジ。

スケールを上げられるような目標を選ぶ、ナンバーワンになる、チャレンジ回数を増やす。

どれも大切なことばかり。実際、ソフトバンクはこのようにして成長してきた。

もし成長できないとしたら、上記の3つのうちの何かが足りないのか振り返ってみた方がいいかも知れない。

 孫社長もスーパーマンではない

本書を読むと、ソフトバンクが今ほど巨大企業になる前のことが書かれている。

孫社長もけっしてスーパーマンではなく、同じ人間なんだなと、孫社長のことが身近に感じられる。

しかし、何かが非凡だからこそ、ソフトバンクは不可能に近いレベルの成長を遂げた。

本書はその秘密のすべてではないけど、その一端は解き明かしていると思う。

上記3つの戦略もけっして珍しいものではないが、1つ1つを実行し達成できる人はほとんどいない。