SCOOP! | ラスト30分問題
芸能スキャンダルを狙うカメラマンが、押し付けられた新人を相棒にして、スクープを狙う。
前半はエンターテイメントとして十分に楽しかった。
福山雅治の自堕落なパパラッチぶりは、かっこいい俳優の癖が抜けないのでリアリティがないけど、逆にリアリティがありすぎても感情移入ができなくなる。
下ネタの連発でもクールに魅せることができるのは、福山だったからだと思う。
相棒と徐々に息が合って、スクープをものにしていくのは高揚感がある。
連続ドラマで見たかった
雑誌の編集部員たちも、人間がよく描かれていた。2人の副編集長と編集長。
こうなってくると、連続ドラマとしてそれぞれの人物を描き切ってほしかった。
新人である行川の成長をもっと緻密に描けるし、チャラ源と都城の過去も描ける。
芸能界の闇、少年法と人権など、週刊誌絡みのネタはいくらでもある。
刑事ドラマの「相棒シリーズ」に対抗して、週刊誌記者の「相棒シリーズ」ができたはず。
後半30分に賛否
以下、ネタバレです。
チャラ源がクスリに溺れているのをわずか一言で暗示したのは良かった。
その伏線があるから、チャラ源が錯乱して殺しを行うのも唐突ではなくて、物語はつながっていた。
この映画は、日本映画にありがちな説明過多がなくて、ぎりぎりまでセリフや描写をしぼっているので、本当にセンスを感じる。
それはそうと、後半30分の展開は、個人的にはビミョーだった。
主人公が事件の被写体となって、あげくに死んでしまうのは、映画前半のノリと違いすぎる。
「あーあ」という感じで、お涙頂戴になってしまったのがもったいない。こんな湿っぽい映画じゃなかったはず。
この映画は、軽薄さと高揚感の中に、人間の葛藤が垣間見えるところがクールだったのに。
主人公の都城は、あくまで周囲の人間から「葛藤」と「成長」を引き出すブラックホールであって、悲劇のヒーローになるべきではなかった。
リリーフランキーの演技がすごい
その問題の30分間、リリーフランキーの演技が凄すぎる。
本当に演技なのか?というレベルで、びっくりした。
だからこそ、なんとも複雑な気分になる。
後半30分はない方が良い気がしたけど、こんな凄い演技をされたらカットはできない(笑。