コペル書評

読んだ本の感想をメモ。ときどき映画も。

熟年売春 | 悲惨さというより、たくましさを感じる

40歳前後(アラフォー)の女性が、なぜ売春をするのか。

この本は、多くの売春婦、風俗嬢、ピンクコンパニオンたちにインタビューしながら、その実像に迫っている。

 

熟年売春 アラフォー女子の貧困の現実 (ナックルズ選書)

熟年売春 アラフォー女子の貧困の現実 (ナックルズ選書)

 

 

裸を売らざるをえないほどお金に困っている現実があり、熟年になると稼げなくなってくる不安な現実がある。

若い女性との違い

以前、同じ著者の「名前のない女たち」をレビューした。

 

coper.hateblo.jp

 「名前のない女たち最終章」は、なんとも救いのない悲惨な過去を背負った若い女性が多く、重い内容だった。

「熟年売春」は、そういった悲惨さよりも、たくましさを感じる。

過酷な状況でも、悲惨な過去を語っていても、インタビューの語り口が妙に客観的で、サバサバしている人が多い

歳を取るというのは強くなることなんだな、と妙に納得してしまった。

なぜ生活保護に頼らないのか

数多くの女性が出てきて、状況はそれぞれだから一概には言えないが、ほとんどのケースで「なぜ生活保護に助けを求めないのか?」という疑問がわいてくる。

本当に、なんでだろうか?

裸を売るほど困っていて、受給できるレベルの人が多そうなんだけど。

役所の対応が冷たくて諦めてしまうケースもあるだろうけど、「相談自体をしていない」人が多いようだった。

このあたりは、やはり女性の強さが裏目に出ているような気がしてならない。

せめて、母子家庭で食っていけないケースで、普通の女性が売春っていう流れだけは避けてほしいものだと思った。

どうすればいいのか、結論は出せない

短いインタビューだけでは、その人の現実には迫りようもない。だから、何一つ安易な結論は出せない。

そうはいっても、年齢的に体を売ることの限界が差し迫っているだけに、「なんとか、ならないものか」と考えてしまう。