コペル書評

読んだ本の感想をメモ。ときどき映画も。

できる研究者の論文生産術 | 大量に書くには決まった時間に書くしかない

 どうすれば文章を大量に書けるか。多くの人がこのことに悩んでいると思う。ブログのような趣味はもちろんのこと、仕事でも「書く」機会は無数にあるから。

そんな疑問に真正面から答えている本を紹介します。

できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)

できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)

 

 タイトルに「研究者」「論文」とあるけど、どんなジャンルであっても通用する内容なのでご安心あれ。

著者が心理学の研究者であり、自身の経験を踏まえているので、「論文をたくさん書く」という具体例になっているだけ。

ブログだろうと、会社の企画書・提案書だろうと、あるいは小説であろうと通用する内容です。

 大量に書くためには決まった時間に書くしかない

本書の結論は1つ。たくさん書くためには、決まった時間に書くしかない。とにかく、この結論が骨の髄まで納得できるようになっている。

「インスピレーションがわいたら書く」とか「気分がのっているときに書く」とか「締め切り前の方が集中力が出る」とか、そういうのは幻想なのである。

心理学の実証研究でも、文章のアイディアとかインスピレーションは、強制的に書いているときにわいてくるという。「インスピレーション」を待つとか、「気分」になるまで待つなんて、まったく非科学的な態度なのだ。

決まった時間に書き続けることが、「たくさん書く」ことにつながり、たくさん書くから内容面も向上する。

まとめ書きは絶対に禁止

たくさん書けない人に共通することがある。それは、まとめて書こうとすること。

たとえば、1か月後に会社の企画書を提出するとしたら、直前の土日で一気に書こうとする人が多いはず。大学生なら、レポートや卒論の提出期限の間際になって、徹夜で書く人が多い。

この「まとめて書く」という発想が、書けない人の発想なのだ。まとまった時間があるからと、先延ばしして、締め切りに追われる。

本書で勧めているのは、コツコツ決まった時間に書くこと。1か月後に締め切りなら、毎日1時間決まった時間に書く。

これができるようになれば、びっくりするほど大量に書けるようになるという。

まー、よく考えれば当たり前ですな。まとめてやろうとするのは、できない人の発想です。

資格試験も同じ。落ちる人は決まって直前にまとめて勉強しようとする。毎日コツコツ勉強すれば誰でも受かるような試験ですら落ちることになる。

書くことは歯磨きと同じ

本書を読んでいて気づいたのは、人は書くことを特別視しがちなんだなということ。

 文章を書くことは、歯磨きをしたり、寝る前に布団を引いたり、風呂に入るために洋服を脱ぐのと同じ。だから、淡々と機械的にやればいいだけ。

なのに、私も含めて、多くの人は書くことにロマンを持っている。その結果、コツコツと淡々と書くことができない。つい先延ばししてしまう。

なぜか。

私が思うに、自分の内面を過大評価しているからではないか。

書くというのは、内面を他者に見せる意味合いがある。自身の内面を過大評価している人は、他者からの反応が気になって身構えてしまうのではないだろうか。

読み手からみれば、著者の内面なんて興味ないし、そもそも文章の内容なんて3分後には忘れてる。他人が書いた文章なんて、たいした価値はない。

それがわかっているんだけど、やっぱり書くことには独特のストレスがあり、筆は進まない。だから、とにかく、毎日○時から○時は執筆の時間と決めて、書き続けるしかないのだろう。

これはブロガーでも同じだと思う。気が向いたときに書こうとすると、意外なほど書けない。

このブログだって、週に1度の更新さえできてない。書き始めれば30分もかからない記事ばかりなんだけど。

毎日、夕食後の30分間はこのブログの更新をする。そう決めて書いていれば、今ごろ1000記事はたまっていたでしょう。気が向いたときに書いてきたから、このブログをはじめて3年たつのに29記事しかありません。