コペル書評

読んだ本の感想をメモ。ときどき映画も。

すぐやる人は、うまくいく。| 軽めの文体が心地よい

 

エア先輩

著者の中谷彰宏氏は、過去に900冊以上の本を出版してきたという。内容は、軽めのアドバイス集ばかり。

「出版」というものに何らかのロマンを持っている人は、著者の多作ぶりに腹が立つはず(笑。ブログ記事程度の内容で、大量に出版して荒稼ぎするなんて!私の記憶が確かなら、20年近く前から、テレビで批判されていた。

しかし、実際に読んでみると、そんなに馬鹿にしたもんじゃない。こういった軽めのアドバイスが読みたいときだってあるし、読んだ人の心にヒットすることもある。

本書は「すぐにやる」ことを勧めている自己啓発本。類書にあるような「心理学の引用」とか「掘り下げた話」とか「目の覚める経験談」は、ほとんど書かれていない。

会話しているような軽めの文体で、どこまでも平易な内容。むしろ、現代のブログ記事を先取りしてきたのが著者かもしれない。

著者の本のテイストは、仕事のできる先輩が飲み屋で後輩にアドバイスするような感じ。これはこれで、いいんじゃないかと思う。

私は自営業なので、気軽に仕事のアドバイスをもらえる先輩がいない。代わりに著者のような読みやすい自己啓発本を読むことがよくあります。エア(実在しない仮想的な)先輩といったところ。

優先順位をつけるから遅くなる

著者は「来た順にやる」ということを勧めている。仕事の優先順位なんてつけるものではないと。

「どれをやるのが一番儲かるか」とか「将来的に大きくなるか」とか「効率的か」とか、そういう小賢しいことを考えるべきではない。仕事の順序は神の采配なのだから、来た順にやることで予想もできないようなシンクロがおきる。 

最近になって、心の底から「その通り」だと思えるようになった。

頭で考えれば考えるほど、自分の狭い世界観の枠に入ってしまう。

  • どれを選べば儲かるか
  • どれを捨てれば無駄骨がないか
  • どれやれば得をするか

そういうことを考えたら負けなんだよね。多くのチャンスを棒に振ることになる。もっと運命に身をゆだねて、縁あって自分に近づいてきたものを公平に扱った方がいい。

仕事が来た順にテキパキとやっていった方が、あれこれ優先順位をつけるよりも多くのものが得られると思う。

考えている時間ほど無駄なものはないと、この歳になってつくづく思います。