コペル書評

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「幸せをお金で買う」5つの授業 | 一読すれば、「もっと金が欲しい」という発想が消える。

 

「幸せをお金で買う」5つの授業 ―HAPPY MONEY

「幸せをお金で買う」5つの授業 ―HAPPY MONEY

 

本書のテーマは、お金の使い方によって幸福感がどのように変わるか。

 幸福を考えるときに絶対にお勧めの1冊。

5つの授業を簡単にまとめると・・・

  1. モノを買うより経験を買う方が幸福感を得やすい。
  2. 購入を先延ばしした方が幸福感を得やすい。
  3. お金を使うときは、時間への影響を重視する。(時間の方が大切だから)
  4. 先に支払って、あとで消費するようにする。
  5. 他人のためにお金を使うと幸福感を得やすい。

上記のまとめでは収まらないほど、本書は示唆に富む内容に満ちています。

思い出せることが幸せな時間

幸福とは何か?っていう問題がある。

「幸福と感じていること」が幸福には違いない。では、どんなときに幸福と感じるか。

たとえば、懐かしく思い出せることは幸福なことなのだ。

そして、懐かしく思い出せることは何かといえば、モノの記憶ではなく過去の経験なのである。

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1番「モノを買うより経験を買う方が幸福感を得やすい」については、多くの人が気づいていることかも知れない。

経験の方がはるかに幸福に思い出せるわけだから、お金を使うならモノではなく、経験を重視すべきだ。

これは、3番「お金を使うときは、時間への影響を重視する」にも関係していて、何かを買ったために時間を奪われたら意味がないという話。

プールつきの豪邸を郊外に買うのは、素晴らしいことに思える。しかし、そのせいで毎日3時間の通勤時間を強いられたら、果たして幸せだろうか。日々の時間の使い方は、貧しくなっていないだろうか。

幸せは持続しない

2番「購入を先延ばしした方が幸福感を得やすい」と4番「先に支払って、あとで消費するようにする」の本質は、幸福は持続しないということ。

ベンツを買ったとしても、どうせ数日から数週間で慣れてしまうので、幸福感は持続しない。だったら、できるだけベンツが手元にある状態を先延ばしした方がいい。

ベンツのカタログを見て、期待に胸を膨らませている時間こそ幸福なのだ。だから、買うのをできるだけ先延ばしして「ご褒美」にする。あるいは、金を支払ってから、消費するのを「おあずけ」する。これが幸せを買うということ。

買い物依存の人は、次から次へと欲しくなるという。買って消費してしまえば、すぐに満足感は消える。また次のものが欲しくなるのは当然のこと。不幸な人としか言いようがない。

愛することが幸せ

5番「他人のためにお金を使うと幸福感を得やすい」については、もう人間の性質として遺伝子にインプットされていること。

愛されるより愛することが幸せ。自分のために金を使うより、愛する子供のために金を使うほうが幸福感は強いし持続する。

ほんの100円を恵まれない人に寄付しただけでも、生きている幸福感は増すのである。

興味深いのは、このポイントを「投資」と結び付けていること。株式投資だって、やりようによっては、「他人のために金を使うこと」と言える。好きな企業に投資するのは、それ自体が幸福な行為となるのだ。

「金が欲しい」って発想をやめよう

本書は、人々にたいして180度の価値観の転換を促している。

多くの人は「もっと金が欲しい」と日々思っている。「もっと金があったら、確実に幸せになれる」と。

とんでもない。その金の使い方をしている限り、幸福感は低下するばかりですよ。

モノを買う、すぐに買う、時間への影響を軽視する、後払いですぐに消費する、自分のために金を使う。

こんなことをやっていたら、どんだけ金があっても幸せは得られない。

重要なのは、金の多寡ではなく使い方だった。

本当に「読んで良かった」と思った本でした。