コペル書評

読んだ本の感想をメモ。ときどき映画も。

タオを生きる | あるがままに生きるとは思考を信じないこと

 

タオを生きる---あるがままを受け入れる81の言葉

タオを生きる---あるがままを受け入れる81の言葉

 

 著者のケイティは欧米で注目されている思想家。

「思想家」という大げさなものではなく、心理実践家とでもいうべきか。彼女のやっていることは、Workという4つの質問を通して、自らを苦しめる思考を解体する作業。

東洋的な思想+西洋的な対話活動

ケイティの狙いは、自らの思考と距離をとること。それに尽きる。

本書のみならず、ケイティの著作を読むといつも思うのは、苦しみの源は自分の「考え」なんだなということ。

現実とは異なることを「あるべき姿」なんて思い込んでいれば、その思考が常に自分を苦しめることになる。

もちろん、これは仏教や道教のベースの部分であり、ケイティのやっていることは東洋人からすれば馴染み深いもの。

しかし、ケイティのWorkは実にアクティブな「対話」を実践するので、むしろ新しく感じる。

 

ザ・ワーク 人生を変える4つの質問

ザ・ワーク 人生を変える4つの質問

 

 

興味のある人は上記のWorkも読んでみてください。

「タオを生きる」の中にも、対話の実践記録がいくつか掲載されています。

古典の読み方

本書「タオを生きる」の内容だけど、中国の「老子」がテーマになっている。

ただし、老子を解説しているわけではなく、老子の言葉にインスピレーションを受けて、ケイティが自由に語ったもの。

ちなみに、ケイティはそれほど古典に興味があるわけではないようです。そこが重要で、ケイティのWorkはあくまで自らの人生から編み出したもの。

だからこそ、Workであれほどアクティブな対話ができる。知識を学んで「悟ったつもり」の人には、あの対話はできない。

ケイティは実に自由奔放に語っています。「老子の教え」も、セミナーの参加者との対話も変わらない感じで、老子を言葉をちょっと目にして、すぐに自分の思いを素直にそのまま語る。これが古典の読み方なのかも知れない。

数千年前に答えは出ている

ところで、誤解を怖れず言えば、もう二千年以上前から、「いかに生きるか」の答えは出ているのかもわからんね。

ようするに「あるがまま」「ありのまま」に生きるということ。それができないから苦しむ。

問題はどうすれば、その境地に至るかということであって、そこは各自が見つけるしかない。

ケイティは、際限なく湧き上がる思考がすべて現実を曇らせるものだと気づいた。そのために、激しく質問をしていく。それはケイティの見つけた方法ですが、多くの人にとっても何らかの参考になりそうです。