コペル書評

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名前のない女たち最終章~セックスと自殺のあいだで 中村 淳彦

名前のない女たち最終章~セックスと自殺のあいだで (宝島SUGOI文庫)

AV女優の実像に迫るノンフィクション。インタビューを通して、カラダを売る女性たちの人生を垣間見る。

 

まじめなノンフィクションなので、性的に煽る要素はなく、抑えた筆致で女性たちに迫っています。

 

評価の高いシリーズですが、本書は最終章だけあって、壮絶な内容が多い。

ここで具体的に書くのが憚(はばか)られるほど、重い内容が多いです。

 

崩壊家族の中で幼少期を過ごし、限界まで傷ついた女性たち。
死を願う彼女たちにたいして、著者はそれを止める言葉が出てこない。
 

あまりに辛い過去を背負った女性たちに向き合って、著者も酷く傷ついていくのがわかります。(著者はライターをやめて介護職に転職したそうです)

 

本書を閉じて、ふと思ったのは、道で通り過ぎる人たちの中にも、絶望的な過去を背負っている人がいるかも知れないということ。
 
他者と接するときには、その人のことを「理解できない」ということを肝に命じておきたい。その人の真の痛みに迫ることはできない。それほどの痛みがある。