8ヶ月ぶりに再開
約8か月ぶりの更新。
更新が途切れた理由は、特に私生活で何かあったわけではない。
つくづく、ブログ更新の難しさを痛感した。
たまたま更新できない日々が続いた。
↓
感想を書きたい本がたまってしまった。
↓
まとめて記事を書くのが面倒になってしまった。
こんなプロセスで更新が止まってしまった。
ブログを継続するためには、ほんとに気楽にやらないとダメだとつくづく思った。
たとえば、3冊の本を読んで、3冊とも感銘を受けたら、全部の感想を書かないといけないと思った途端にブログが面倒になる。
そして、その感銘を受けた3冊の感想を書かなかったんだから、4冊目の本の感想をわざわざ書くのはおかしいだろ?と思ったら、もうブログを続けるのが不可能になる。
あれこれ考えずに、気が向いたときに気が向いた感想を書くようにします。
仕事は楽しいかね? | 自己啓発書の傑作
「仕事は楽しいかね?」を久しぶりに読む。これで3回目。
自己啓発書の傑作として有名な本だけど、たしかにこの本は繰り返し読み返したくなる。
この本を簡潔に要約するなら、「計画するのではなく、いろいろ試そう。世の中は偶然で満ちている」といったところ。
なぜか、人生で行き詰ったときに読みたくなる。
あれこれ先を読んで、計画して、心配するのではなく、もっと世の中の不条理を楽しもう。こんな世界観だから、読むと自由な感覚を思い出せる。
印象に残った部分。
・遊び感覚であれこれやって、成り行きを見守る。
・望みうる最良のものは、手に入れたものを好きになること。
・画期的な成功は、それに値する仕事がなされようとなされまいと、収めることができる。
今後も、折に触れて読むことになりそう。
脳はなぜ「心」を作ったのか | 受動意識仮説は自己監視からの解放
受動意識仮説をテーマにした本。
人間は自分が意図するより前に体が動いている。つまり、体が動いてから、自分の意図で動かしたかのように錯覚する。
脳はなぜ「心」を作ったのか「私」の謎を解く受動意識仮説 (ちくま文庫)
- 作者: 前野隆司
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/11/12
- メディア: 文庫
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この仮説の出発点になったのが、1980年代のリベット教授の実験で、指を動かすと意図するより前に、筋肉が反応していたことにある。
通常は、「指を動かすと決めたから指は動いたんだ」と思える。しかし、実際は、「指を動かそう」と意図してから指が動くのではなくて、指が動いてから「指を動かそう」と意図したように感じられる。
一言でいえば、自由意志は存在しないという仮説。
無意識の行動が先にあり、意識(知情意)は常に後から形成される。
これが受動意識仮説。
じゃあ、なぜ、脳は「自分の意図」が先であるかのように錯覚するのだろうか。
ここが本書の核心で、エピソード記憶をするためにあるという。
「私」の意識が発生した理由
エピソード記憶というのは、今朝何を食べたか?仕事はどこまで進んだか?という日常の記憶。(意味記憶は、リンゴは食べ物だ、といった記憶)
進化的に、エピソード記憶が出来た方が有利だ。今朝何を食べたか記憶していないと、今何を食べるかの判断材料が少なくなる。昆虫のように食べ物に反射するだけの生物になってしまう。
エピソード記憶をするためには、意識が必要となる。ここがポイント。
日常の目に入る情報は膨大で、無意識はそのすべてを処理する。とても記憶はできない。
しかし、意識があるとどうなるだろうか。何かを自分の意志でやったかのような鮮明な体験として、特定のエピソードを記憶できるようになる。
自由意志の錯覚は、鮮明な体験のために必要なのだ。それはつまり、記憶するために必要だということ。
自由意志はなかった
上記のロジックから考えれば、本当は意識はなくて、無意識のやったことを自分がやったことのように後から錯覚するだけ。
しかし、その錯覚があるおかげで、日常の体験をエピソードとして記憶できる。進化的にエピソードを記憶した方が有利だから、その錯覚が生じたのだ。
なかなか説得力がある。
意識が錯覚だとすると心が安らぐ
自由意志があるとしたら、人間は後悔を持ち続ける。
「なぜ、あのとき、あれをやってしまったのか(やらなかったのか)」という後悔。
これらの後悔は、他の道も選べたはずだという前提がある。自由意志があるのだから、自分は別の道を選べた、という前提。
しかし、自由意志がないのだとしたら、後悔する理由がない。起きたことはすべて後から認知するだけなのだ。
だから、一切の責任観念とか、後悔から解放される。
要するに、現実をありのままに受け入れる仏陀の思想(東洋思想)そのものだと言える。
おそらく、人類はずっと、「自由意志がある」との錯覚によって苦しんできたのかも知れない。
すごいことを語っているように思えるのだが
本書のテーマは、哲学上の問題を解き、人間存在の謎を明らかにするような大きなものだ。その割には、今一つ知名度がない。
科学者たちは、受動意識仮説をどう思っているのだろうか。
その実験からの解釈としてはやや拡大気味だし、仮説自体は真偽が問えないから、黙殺しているのかも知れない。
しかし、もともと物理学的に自由意志はありえないとされてきたわけで、じゃあなぜ自由意志があるかのように感じられるのか?という重要問題を本書は見事に説明している(ように思える)。
仮説だとしても、知っておく価値のある仮説だと私は思った。
ボーン・アイデンティティー | 何も考えずに楽しめる
映画「ボーン・アイデンティティ」を観たので感想をメモ。
記憶をなくした男が、自分の正体を求めて手がかりを追う物語。
サスペンス・アクション映画として純粋に面白い。
アクション映画を観たい気分のときに、面倒なことを何も考えずにただ楽しめる。
アクションのテンポがいい
建物内の逃走、格闘、カーアクション、ガンアクションなど、あらゆるアクションが出てくる。
どれもハラハラしながら楽しめて、間延びがない。
ハリウッドのアクションはやっぱりすごい。
プロットもいい
記憶喪失になった主人公が、記憶を取り戻そうとするのが、映画の筋になる。
誰にとってもアイデンティティーは切実なので、「自分の正体を求める主人公」には感情移入しやすい。
実をいえば、映画のしょっぱなからCIAが出てきて、主人公の正体はすぐに予想がつく。
アクションものなんだから、無駄に謎を引っ張る必要がない。観客を無駄に迷わせないのがいい。
男は顔じゃない
主演はマット・デイモン。
けっしてハンサムではないが、人気のある俳優さん。私もハリウッドの中で特に好きな俳優さんの一人だ。
ハリソンフォードと同じ系統かな。「人生は厳しい」という苦渋に満ちた表情が似合う。
リミットレス | 潜在能力を発揮する夢物語
映画「リミットレス」を観たので感想をメモ。
主人公は脳の力を100%発揮する薬を手して、どんどん成り上がるが・・・といったストーリー。成り上がるシーンは爽快感がある。
サスペンスの要素が2つあって、「他にも薬を狙う人たちがいる」「薬の副作用をどうするか」。
一度観始めると、最後まで一気に楽しめるタイプのサスペンス映画。
潜在能力を発揮する夢
主人公はもともと冴えない作家志望だった。小説を書き上げることもできず、恋人からも見放されて、しょぼくれていた。
しかし、薬を飲んで、脳の力を発揮したら、まったく違う人生へ。
つまり、この映画は、「人生を変える願望」を表現している。
実は自分はすごい・・・だから、人生を変えられる・・・というのは、誰もが密かに抱く願望だと思う。
報われない人生を送っている人ほど、あるいはダメな生活習慣が身に付いてしまった人ほど、その願望を根強く持っているはず。
その願望は否定されて、夢から覚めるべきだと思うから、この映画のラストはちょっと納得がいかない気分。
成り上がるプロセスにお国柄が出る
面白かったのは、成り上がるプロセス。すごい能力を発揮する薬があるとして、じゃあ、主人公はどのように成り上がるか。
そのプロセスはお国柄が出ると思う。
この映画が作られた米国の成り上がりは、以下のプロセスだった。
以下ネタバレです。
まず、主人公は作家志望なので、小説を書き上げて編集者から絶賛されるが、こんなことはやってられないと文筆業はやめる。
次に、金を借りて株のトレードをはじめる。そして、莫大な成績をあげることで、ウォール街で話題の人物になる。
その知名度を生かして、人脈を広げて、大企業の著名経営者のコンサルタントになる。
最後に上院議員になって、大統領を目指す。
なるほど。アメリカでの成り上がりは、こういうプロセスなのか。
日本だったら、どんなプロセスで成り上がりを表現するだろうか。株のトレードとか、コンサルタントとか、政治家は、あまり出てこない気がする。
起業して上場させるか、売れっ子の芸能人、といったところだろうか。
そんなことを考えて、楽しめた映画。
パンドラム | 船内サバイバル
アマゾンビデオで映画「パンドラム」を観たので感想をメモ。
地球から惑星タニスへの移住を目指すSF映画。
宇宙船の密室劇が好きで、SF映画をときどき観たくなる。
この映画は密室劇といっても、6万人を収容できる巨大宇宙船だが。
設定が好きならぎりぎり楽しめる
冷凍睡眠から目覚めたクルーたちが、船内にいるはずのない奇妙な生き物たちと闘う。
いろいろツッコミどころが多い映画だけど、それなりのアクションシーンと謎解きがある。
宇宙船の船内アクションやドラマが好きなら、まずまず楽しめる。
以下ネタバレです。
設定は好きなんだけど、映画としてはいまいち。
この映画のツッコミどころをまとめてみた。
1.「パンドラム」という新語を作る意味がない。
不安や絶望から、妄想に囚われて狂人と化す精神病を「パンドラム」と呼んでいるが、普通にありそうな精神病の症状。
2.冷凍睡眠から目覚めたときに記憶喪失になっている必然性がない。
目覚めたときにクルーが記憶喪失になっているが、よく考えると、記憶喪失でなくても映画のプロット上は何の問題もない。
3.地球が滅亡していることの意味が描かれていない。
航行中に地球が滅亡したことで、そのことを知ってしまったクルーの倫理観が崩壊することが大きなテーマ。しかし、地球滅亡を後で知った人たちが衝撃をあまり受けていない。結局、クルーの一人が狂っただけの物語になってしまった。
4.異常な進化をしてしまった移住者が、ただの化け物になっている。
化け物と船内で戦うわけだが、その化け物は同じ人間であったという点について、思いを馳せる部分がない。単に、船内で化け物と闘うだけなら、エイリアン2の方がよっぽど面白い。
5.とっくに惑星に着いていたのに、船内で900年もいたことについて、感慨がわかない。
「猿の惑星」みたいに、最後に真実を知ったときの深い感慨が、この映画にはあまりない。冷凍睡眠しているなら、何百年たっても同じことでは?みたいな感じ。
ということで、ツッコミどころが多い。
「面白い映画」と、「いまいちな映画」の違いはどこにあるのか。映画って難しい。
禅 | 現世の救いはいかに可能か
アマゾンビデオで「禅」を観たのでメモ。
禅宗の1つで、日本における曹洞宗の開祖である道元の人生を映画にしたもの。
映画として純粋に面白かった。
この歳になって、禅や仏教に興味を持ちはじめた。中年になると人生の残り時間を意識するからだろうか。死を意識すると、人生の虚しさ・・・について考えざるをえない。
そうはいっても、映画には期待していなかった。この手の日本映画が面白かったためしがない。他の映画にしようかどうか、15分くらい迷った。
意を決して観てみると、映画としてよく出来ていて楽しめた。テンポよくストーリーが展開していくから退屈しない。
宋留学のシーンもあって、中国語を話しているのがいい。当時、中国の存在がいかに大きかったのか伝わってくる。
道元の人生物語
少年時代の道元は、「死んだ後で救われても意味はない」と語る。
じゃあ、どうすれば、生きている人間が救われるのか。それを求める人生が描かれる。
この映画には、禅の思想について語られたセリフが多いから、観るだけでも禅の入門知識が得られる。
しかし、「大海に水を観る」という当たり前のことを知ることが、なぜ苦悩の解決になるのか。なぜ座っているだけで、その境地に至るのか。
映画で雰囲気は伝わってくるけど、わかったようなわからないような・・・
雰囲気が伝わるだけでも、この映画はたいしたものかも知れないが。